私は地方のとある中小企業で総務をしています。妻と二人暮らしで、子どもたちはもう独立しました。

ある朝、見知らぬ番号から電話がかかってきた

先月のことでしてね。朝一番に、見知らぬ番号から会社に電話が入ったんですよ。出てみると、「○○さんの退職の件でご連絡しました」と、退職代行の担当者を名乗る方でした。

総務を長くやっていますが、この手の連絡を受けたのは初めてでして。正直、最初は頭が真っ白になりました。本人は一度も出社せず、連絡はすべて代行の方を通してほしい、という話だったんです。

最初に浮かんだのは「なぜ直接言ってくれなかったのか」

私の世代だと、辞めるときは上司に頭を下げて、引き継ぎをして、最後に菓子折りを配って、というのが当たり前だったんですよね。ですから最初は、「なぜ直接言ってくれなかったのか」という気持ちが、どうしても先に立ちました。

ただ、手続きを進めるうちに、少しずつ見方が変わってきたんです。

辞める側の気持ちを、想像できていなかった

総務の仕事は、辞める人を「受け取る側」の仕事です。ところが、辞める側が何日も前から眠れずに過ごしているかもしれない、ということを、私はきちんと想像したことがなかったんですよ。

思い返せば、その社員は最近、顔色がずいぶん悪かったんです。声をかけておけばよかったと、今になって思います。会社側にも、言い出しにくい空気をつくっていた責任が、少なからずあったんだろうなと。

手続きは意外なほど淡々と進んだ

貸与品の返却、離職票の手続き、有休の扱いなど、実務は書面とやり取りで淡々と進みました。感情的なやり取りがない分、こちらも落ち着いて事務を進められたのは、思いがけない発見でした。

もちろん、直接話せたほうが互いにすっきりする場面もあるでしょう。ですが、それが誰にとっても可能とは限らない、ということを学びました。

他の人はどう考えているのか気になって

この件のあと、自分の考えが古いだけなのかどうか気になりまして。同じ世代の方が書いたものはないかと、あれこれ読んでみたんです。その中で、転職を2回経験した40代の方が、最初は退職代行に否定的だったのに考えが変わった、という体験談を見つけました。

自分で辞める大変さを知っている人の言葉だからか、すっと入ってきましてね。気になる方は転職2回の人が退職代行への考えを変えた話を読んでみてください。立場は違えど、「消耗しきる前に自分を守る」という視点には、うなずけるところがありました。

これから私が心がけたいこと

今回の件で、一番強く感じたのは、辞め方の良し悪しを決める前に、辞めたいと思わせてしまった理由に目を向けるべきだということです。

退職代行を使われたこと自体を嘆くより、普段から相談しやすい職場にできていたか、それを振り返るほうが大事なのではないか。そう思うようになりました。まずは明日から、部下への声のかけ方を少し変えてみようと考えています。

50歳を過ぎても学ぶことはまだまだありますね。